山西省四方山話 14
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渋滞(3)  「真白いお尻」

 山西省のドサ廻りは、行き当たりばったりの旅が多い。出かける前には宿泊地は考えているが、どこの飯店に泊まるかは行ってからの相談。予定通りの時間に着くこと
は希なので、泊まる宿が無ければ次の街まで行く。
 1993年の旅は男だけだった。計画通り南部の運城に行く。更に足を延ばし、風陵渡で黄河に架かる大橋の上から雄大な濁流を眺め、陜西省に入る。
運城に戻り、街中にある関帝廟を見たあと、郊外にある塩湖に行き、辺に積まれた塩の山から塊をタダで戴く。そして南にある永楽宮など見て夏県に向かう。途中で仏塔の頂が崩壊し、亀裂の入った太平興国寺の奇塔を見る。そして城内にある温泉でひと浴びし帰路についた。
 太原への道は、途中から新しく改修された黄土高原の道を走った。広い道の両側には腕ほどのポプラが植えてある。その向こうは作物が植えられていない畑が広がっている。そんな広々とした黄土高原を走って行った。
 そのうち速度が遅くなり渋滞が始まる。四車線の広い道だが、何のトラブルか分からない。事故なのか対向車も来ない。はるか彼方まで繋がりその先は見えない。車が詰まり始まると対向車線に後方から車が次から次へと入り、アッという間に「刺し子」状態となり道路は満杯となる。こうなると事故現場が開通しても、「団子」となった車がスムーズに通れるわけがない。動き出したとしても時間はかかる。
 真夏でも高原の風は気持ちがいい。二時間も止まっているとあちこちで昼寝が始まる。そのうち男の立ち小便が始まった、誘われるようにあちこちで始まる。「関東のツレション」だ。女は困るだろう思っていると、我慢できなくなったのだろう娘さんが畑に向かって走った。何も植えてない畑は見通しがよく、どこまで走っても隠れる所は無い。男どもの目が追う。我慢できなくなったのか、諦めたのか、娘さん立ち止まったかと思うと真っ白いお尻を出してしゃがみ込んだ。その瞬間クギ付けとなっていた男性群の目がテンとなった。そして、その日は太原に着けなかった。