山西省四方山話 4
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吉県にて(2) 村の葬式



 美味しい粟粥とザーサイ、ゆで卵。山西省定番の朝飯のあと黄河に向かう。
県城を出るとすぐに登り坂となり黄土高原に入って行く。

 二時間ぐらい走っただろうか小さな村に入って行った。とある一軒家の塀に数本の花輪が立てかけてあった、お葬式だ。写真を一枚と車から降りたとき門から男が出てきた。
撮っても良いかと聞くと「好」。村の役人でこの葬式を仕切っているという。撮り終えて帰りかけると、内に入って仏様を見て行ってくれという。 

 祭壇には老人の写真が飾られている。私たちは持ち合わせた煙草と一握りの飴を供え、線香に火をつけ手を合わせた。見知らぬ外国人の参拝に感謝したのか、一杯飲んで行ってもらいたいという。

 いつも間にか周りは大勢の人垣、ここは○○酒家(食堂)で、私たちは勝手口から庭に入ってきたことになる。日当たりのいい食卓に案内され、村人と一緒に座る。すぐに白酒がでる。ここの地方特産の地酒でお清めだ。

 まずは冷菜が運ばれ、食堂だから料理はお手のもの、暖かい料理の盛られた大皿が後から後えと食卓に積み上げられていく。最後に出てきた饅頭には驚いた。ソフトボールより大きく赤ん坊の頭ほどある、それが十数個山積みだ。何とか同行した皆で一つを食べる、ご馳走様であった。

 こんな辺鄙な山村でデカイ饅頭が食べられている間は、中国は安泰だ。