山西省四方山話 4
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熱 い 西 瓜



 黄河を見た帰り黄土高原の同じ来た道を引き返す。雨のない日が続いた道は車が通る度に黄砂が舞う悪路だ。
 最近、黄河のこの辺で「柿子灘」遺跡が発掘されたので、川添の道が整備され時間のかかる山越えの道は利用が少ないという。
 そんな高原の道の両側はトウモロコシ畑が続く。所々に収穫を終えた西瓜畑が広がっている。
炎天下のなか走っていると道端に小さな小屋があった。中には親父さんが一人、畑の西瓜が盗まれないように四・六時中見張っているという。広い畑にはまだ幾つか転がっている。西瓜に目の無い私は食べずには帰れない。

 親父さんに一つ選んで切ってもらう。一口齧る、アッと思わず声が出た、暖かいどころか熱い西瓜だ。無理もない、数十日間も炎天下に晒されていたのだ。しかし乾いた喉には最高のご馳走だ、やはり完熟物は美味しい。

 小屋のまわりを見るとトマトの垣根に真っ赤な実がぶら下がっている。食べていいかと聞くと「好」
みんな持って行っていいという。これも完熟だ、日本では味あえない美味しさ。
 お礼にと日本のタバコを一箱差し出す、外国ものは初めてなのか一本吸うその嬉しそうな顔が忘れられない。
 今度行ったときは「冷たい」西瓜が食いたいものだ。